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最高裁判所第一小法廷 昭和40年(オ)200号 判決 1965年10月07日

上告人

高木茂幸

代理人

高橋万五郎

被上告人

相内良作

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人高橋万五郎の上告理由第一について。

当事者間において将来金員を貸与することあるべき場合、これを準消費貸借の目的とすることを約しうるのであつて、その後該債務か生じたとき、その準消費貸借契約は当然に効力を発生するものと解すべきである。しかして、所論の準消費貸借は所論の金四万円の貸与前に締結されたものであるが、その後右金四万円の貸与のあつたことは、原判文上明らかである。それ故、原判決には所論の違法はなく、論旨は採用に値しない。

同第二について。

本件当事者間において、昭和三三年二月二二日準消費貸借契約締結の際、所論の(イ)および(ロ)の各貸金五万円に対する利息の合意が成立したことは原判文上明らかであり、かつその利率が利息制限法所定の制限をこえるものでなかつたことは、同法一条の規定に照らして明らかである。所論は、畢境、原判決を正解しないでこれを非難するに帰する。原判決には何等所論の違法はなく、論旨は採用に値しない。

同第三について。

原審の認定したところによれば、昭和三四年二月二日本件当事者間において、既存債務を目的として、準消費貸借契約が成立したというのであつて、右認定は挙示の証拠によつて肯認しうるところである。しかして、準消費貸借は既存債務の存在を前提とするものであるから、既存債務が存在せず、または無効のときは、新債務はその有効に存したる範囲に減縮されるべきであるが、所論既存債務についての主張は単に右準消費貸借の成立過程に関するものであつて、この点に関し原判示のごとき認定をしても、何等所論の違法があるものとは認め難く、結局論旨は理由なきに帰し、採用しえない。

同第四について。

原審の事実認定は、挙示の証拠によつて肯認しうるところである。しかして、所論違憲の主張は原判決とかかわりない事項に関するものであるから、論旨は採用に値しない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。(松田二郎 入江俊郎 長部謹吾 岩田誠)

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